キミ時間
なにか言わなきゃ。
でも、何を言えば?
彼からはなにも言葉が出てこない。
出る気配もない。
優衣からの言葉を待っているのかのように。
「あ………」
ごくん、と息を飲んだ。
なにか、
なにか、
なにか言わなきゃ。
でも、
なにを??
頭が回る。
グルグルと。
あたしは、田中くんのこと…
どう思ってるの?
彼は、友達。
「たなかくん、」
「どうぞ、お幸せに」
不意に、扉の向こうから声が聞こえた。
咲久ちゃんの声のような気がして、外に出た。