キミ時間
「あら、咲久が起きてるなんて珍しい」
驚いたようにお母さんが言う。
「明日は雨じゃない?」
続いてお姉ちゃんか言う。
「………。」
お兄ちゃんはチラッと見ただけ。
人が早く起きただけで、この有り様。
この家族は、失礼しちゃうな。
でも、今はそんなことなんて軽く流せちゃう。
「あ、あたし今日はこれから出掛けるから。」
その言葉に食いついたのはお姉ちゃん。
「もしかして、デート!?」
何気ないその一言で、あたしは食べていたサンドイッチを喉につまらせた。
「ゴホッゴホッ、ちっ違うから!!」
「なあんだ、つまんないの~」
ニヤニヤと隣で笑うお姉ちゃん。
ドキドキと心臓がおさまらない。
デート。ではないよね。
遊びにいくだけ。
雪先輩は、あたしをただの後輩としか見てないし。
あたしは、サンドイッチを口にほうばり、待ち合わせ場所に急いだ。