キミ時間
たぶん、いつも通り。
普通に会話して、普通に笑っている。
誰が見ても仲睦まじい光景だ。
でも、なんとなく感じる違和感。
あたしが出しているのか、それとも大地が出してるのか。
あたし達の間には、なんとなく距離があった。
気のせい…じゃないよね。
「あのさ、昨日のことなんだけど…」
ドキッ…
大地の、昨日、という単語に反応した。
「悪かった。俺から誘ったのに、あんな風になって…」
「…ううん、しょうがないよ。」
しょうがない。
大地の大切な子が困ってたんたから。
「葵ちゃん…大丈夫だった?」
「あぁ、一応は…」
なんとも歯切れの悪い言い方。
何かあったの?
「そ、そう言えば、なんであそこにいたんだろう?」
「……俺が、教えた」
あたし達の間には、沈黙が流れた。
申し訳なさそうな顔であたしを見る大地。
あたしは、「そっか。」とだけ呟いて、ただ歩いている。
なにも喋らない大地を見て、あたしもなにも言えずに。
切なくなる気持ちを押さえ込んで。