キミ時間




「おはよう。」


教室に入ると、優衣里と咲久があたしのもとへ来た。


「なんで一限いないのよ!!」


少し怒ったような顔で咲久が言う。


「ちょっと、咲久ちゃん!!とばっとりだよそれ」


そんな咲久を押さえる優衣里。


「……ごめん、体調悪くて保健室にいた」


あのあと、泣き張らした目を冷やすために保健室にいったあたしは、そのみ一限をサボってしまった。


「ごめんね?栞奈ちゃん。

 咲久ちゃん、今は虫の居所が悪くて」


心配そうに咲久のフォローいれる優衣里。

でも、今は他に構ってられるほど、あたしは強くない。


少し息を吐き、あたしは二人を見ずに言う。




「あたし…大地を好きなのやめる。」




ただそれだけ言うと、あたしは自席についた。


二人はなにも言わずに、ただあたしの方を見てくる。


保健室にいる間考えてたこと。

このまま好きでも、見込みがないんだから。

いっそやめてしまおう。


もっと他に、いい人がいるかもしれないんだから。



大地のことは、諦める。




あたしは、好きなのをやめる。







次の日から、あたしは大地を朝起こしに行くのを止めた。












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