キミ時間
ガタン…
鞄を落としたあたしは、目の前にいる人を見た。
正確に言えば、目の前にいる園田くんの後ろにいる彼を見た。
なんで、ここに?
いや、いて当たり前なんだけど。
なんでこのタイミングで、彼が?
「…手、離して!!」
気づいたときには、そう発していた。
園田くんは、「ごめん。」と顔を赤らめて、あたしの手を離した。
すぐそばにいる先輩は、何事もなかったように、ニコッと笑いかけるとあたしの横を通り抜けた。
「バカみたい…」
何を期待してるをだか。
先輩には、好きな人がいる。
あたしが誰に告白されようが、興味なんてあるわけないよね。
「あの、大橋?」
「……ごめん、」
園田くんが少しだけ申し訳なさそうに、あたしを見てるのがわかる。
でも、今のあたしにはそんなことに構ってられなくて。
さっきの先輩が気になってしょうがなかった。