キミ時間


「俺の方こそごめん。

 俺らほとんど会話とかしたことないのに、こんなこと言われても困るよな」


アハハ、と頭をかきながら苦笑いを浮かべる。


「今なら、大橋の記憶に残るかなって、先走っちゃった」


今度は悪戯っぽい笑みを浮かべる。


この人は、いろんな顔をするんだな。

なんて、頭の片隅でそんなことを思った。


「大橋って、告られたら誰でも付き合うって本当?」


――ドクン…


そんな噂もあったな。

今となっては、バカなことしてたなって思うんだけど。


園田くんもそれ狙い?


「あたしと今すぐに付き合いたいの?」


「まさか~」


あたしの質問に即答する彼。


それに少しだけ驚いた。


今までの人は、みんなそうだったから。


「俺は、俺のこと好きじゃないのに付き合ってはほしくない。」






< 73 / 164 >

この作品をシェア

pagetop