キミ時間
堂々と言い切った園田くんはなんとなく眩しかった。
なんであたしなんかを?
あたしなんて、告られた人はたいていは付き合っている。
だから、園田くんみたいな人はいなかった。
好きじゃなかったら付き合わない。
今なら少しだけ、その気持ちわかる気がした。
そんな普通な感情が、今まで欠落していた。
彼を…雪先輩を好きになって初めて知った。
「…、あたし、好きな人がいるの。」
――ドキン、ドキン
初めて口に出したそれは、なんとも恥ずかしいものだった。
だけど同時に、胸がいたくなった。
園田くんのことを考えたから。
「そっか。」
少し沈んだ声。
何て言えばいいんだろう。
こうゆうとき、言葉が思い付かない。
「でも、俺さ…
まだ、諦めないから」
「えっ、ちょっ!!」
園田くんは言いたいことだけ言って、足早に階段を上がっていった。