キミ時間
普通は振られたら諦めるでしょ?
あたしには好きな人がいるんだから。
「………。」
でも、あたしも同じ、か。
雪先輩に好きな人がいるのに、なおも好きなのを続けているんだから。
どうしようもない苛立ちが、あたしを襲ってきた。
「あ、咲久ちゃん!!おはよう~」
教室に行くとなにも知らない優衣里がニコニコとあたしによってくる。
あたしは優衣里にやつ当たらないように、言葉を発した。
「おはよう、ちょっと来てくれない?」
と、廊下に呼び出してさっきのことを話した。
「あ、やっぱり好きな人いるんだ~」
すべて聞いた優衣里は、なんて呑気なことを言っている。
そこに食いつくのは、なんとも優衣里らしい。
あたしは一瞬なごんだけど、教室に入り彼の姿を見たとたんに、またイライラとした感情が涌き出てきた。