キミ時間
「でもさ、まだどうなるかなんて分からないじゃん!!」
「そ、かな…」
落ち込むあたしに、咲久は励ましてくれる。
「そっ、そうだよ。優衣は、栞奈ちゃんの方が魅力的だと思うよ!!」
ニコニコと笑いながら優衣里が言う。
この笑顔に、さっきまでひきつっていた顔が緩む。
あたしは、いい友達に恵まれたな。
一息ついて、あたしは体育倉庫にあったコーンを運び始める。
とりあえず、クヨクヨなんてしてらんないか。
このタイミングで、好きになってしまったんだから。
それに、付き合いたいなんて思ってない。
ただ、今のままで…。
普通の幼馴染みとして、これからも接していきたいんだ。
――ドンッ
「あ、ごめん…て、大地か………」
コーンで前が見えなかったせいで、大地がいることに気づかずに当たってしまった。
「一気にそんな量持つからだろ?」
少し呆れたようにいい放ち、あたしの手から意図も簡単にコーンを取られてしまった。
「あ……………」
ズルい。
心がどうしてか傷んだ。
スタスタと先生のところにコーンを持っていくと、あたしのところに戻ってきた。
顔が見れない…。
たぶん今、あたしの顔…赤いかも。