キミ時間
「優衣里!!」
お弁当を食べ終わった優衣たちは教室に戻ろうとしたとき、優衣は後ろから声をかけられた。
「あ、田中くん」
「だから、真央だってば~」
ケラケラと悪戯っぽく笑う田中くん。
今はその笑顔になんだか救われた。
「優衣里、先教室にいるね」
と、二人は教室に入っていく。
「あ、ど…どしたの?」
「明後日、来るでしょ?」
質問を質問で返してくる田中くん。
優衣は小さく頷いて見せた。
「よかった…」
安堵のため息と言うか、なんとも柔らかく笑う彼。
こんな顔もするんだ。
「あ、でも、栞奈ちゃんも来るの」
「栞奈?あ~、別に良いよ。
優衣里が来てくれるなら」
さっきまでザワザワとしていた心が軽くなる。
一時でもなにも考えなくても良いような気がした。
その笑顔に、また救われる。
「優衣里、なんかあったの?」