キミ時間


「ま、なにはともあれ、試合応援来いよ~」


ニカッと笑って教室に入っていった。

優衣もそのあとに続くように教室に入る。


「なに話してたの?」


席につくと、不思議そうに栞奈ちゃんが聞いてきた。


「試合のこと」


と、だけ言って、優衣は笑いかける。

クエスチョンマークを浮かべながら、困ったように笑う栞奈ちゃん。

でもすぐに、何事もなかったように話し始めた。










そして――



「あ、田中くん、スタメンなんだ」


試合観戦当日。


グラウンドには真剣な表情でプレーする田中くんの姿。


サッカーのルールとかはよく分からないけど、先輩がいる中でスタメンに選ばれてる田中くんはすごく上手いんだと思う。


「田中、中学からサッカー部らしいよ?」


なんて、初耳。

隣の女の子達がヒソヒソと田中くんを応援していて、聞こえてしまった。


田中くん、人気あるんだ。







< 83 / 164 >

この作品をシェア

pagetop