キミ時間


優衣は見てるだけ。

心の中で、頑張れ、って応援してるだけ。


「優衣里は、応援しないの?」


がんばれー、って応援していた栞奈ちゃんが優衣を見る。


「え、だって…恥ずかしいし」


そんな勇気ないし。


「フフ、優衣里らしいね


 でもさ、優衣里が応援した方が田中くん、頑張るんじゃないかな?」


優衣が、応援した方が…?


チラッと見ると、田中くんは頑張っている。

点数は2対1で負けてる。


でも、優衣なんかが応援したところで、変わるわけ…。





“そのまんまでいいんじゃないかな”


“少し考えすぎ”




田中くんの言葉が、頭に流れ込む。


たしかに。

優衣が応援したところで変わらないかもしれない。

だけど。




――ガッ



「え、優衣里??」


その場に立ち上がった優衣を見て、栞奈ちゃんは少し驚いている。


そんなの気にせずに。











「田中くーん、がんばれーーー」








こんな大声出したことないってくらいの大声を張り上げた。










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