キミ時間
あの子とあたし
―Kanna ―
「三上、お前は何度言えば遅刻せずに来るんだ」
朝のHR後、隣のクラスからは怒鳴り声が聞こえた。
あたしはため息を漏らしたけど、気にせずに体育の準備を始める。
「栞奈、三上くんまた怒られてるよ
一緒に来なくても、起こしてあげれば?」
少し苦笑いを浮かべながら、あたしに訴えかける。
大地起こしに行かなくなってから、早1週間が過ぎた。
いや、早くもないかな。
大地と一日も話さなくなってから、朝の時間が長く感じる。
毎朝、起こしに行くか行かないかで葛藤している。
チラッと隣の教室を見ると、笑いの中心にいる大地。
「今さらだよ。」
大地が、あたし以外が起こしても起きないことは、あたしが一番よく分かってる。
でも、大地を見ると、たまらなく愛しく感じる。
だから、まだダメ。
あたしが大地をちゃんと諦めるまでは。
「まあ、栞奈しだいだよ」
事情を全て話したあたし。
だから、二人はそれほど干渉してこない。
肩の荷が少しおりた気がする。