キミ時間
それに気づかれたくなくて、あたしは顔を下げたまま。
「……やめろよ、それ。」
不意に、大地の声が聞こえた。
消えそうなほど小さい声。
あたしは、とっさに顔をあげた。
目の前に、なんとも複雑そうに笑う大地の姿。
「…だい、ち…??」
何て言ったらいいんだろうか。
こんな風に笑う大地を、あたしは初めて見た。
何か言わなきゃ…。
でも、なんて?
「あの、」
「大地!!」
呼んだのは、あたしじゃない誰かの声。
声を聞いて、すぐにわかった。
あの子の声だ…。
「あおい…」
あたしの声を遮ったのは、彼女の声。
いつもと変わらない笑顔の彼女。
でも、どこか焦ったように近づいてくる。
「あっちで、バレーしない??」
彼女が指を指したのは、彼女達のクラスのみんながいる方。
大地は、うんともすんとも言わずに、彼女に連れていかれた。