キミ時間
「栞奈ちゃん…」
体育館につくと、なぜだか彼女に話しかけられた。
「あ、なに?」
「大地のことなんだけど…」
彼女…葵ちゃんに。
なんとも重苦しい雰囲気。
あたしはしょうがなく頷いた。
「最近、朝起こしてないの?」
そのことか。
なんでわざわざ、あたしに聞くんだろう。
「…大地、聞いても教えてくれなくて。」
悲しそうな表情。
こんなの誰が見てもわかる。
この子も大地が好きなんだ。
だから、あたしには入る隙なんてない。
「そうだよ」
それだけ告げて、あたしは葵ちゃんに背を向けた。
早くこの場からいなくなりたくて。
「じゃあ、あたしが起こしにいっても良いの?」
え……?
「だって、大地が可哀想だもん」