キミ時間
なんで、今まで黙ってたのよ。
「だって、あんたブラコンだから言ったらうるさいでしょ」
なんて親だ。
あたしは、ため息を漏らし、チラッとお兄ちゃんの横にいる彼女さんを見た。
お似合いだな。
こんな人なら、文句なんて言えないよ。
あたしは、楽しそうに会話をする三人を横目に、早々と食事をすませて外へとでた。
まさかお兄ちゃんが結婚なんて。
はぁ、と人知れずため息をこぼしていた。
「あ、」
無意識だ。
あたしは無意識のうちに、歩いて来てしまっていた。
空の家の目の前に来ていた。
なにしてんだか。
――ガチャ
「へっ…」
誰か出てくる!?
あたしはとっさに塀に隠れた。
誰かの足音がする。
あたしのすぐうしろでピタリと止まり。
「なに隠れてんの、栞奈」
柔らかい声があたしの頭の上から聞こえた。