キミ時間
あたしは少し大地から離れた。
あの二人にとって邪魔なのは、あたし。
だから、あたしは身を引くべきなんだ。
重い足を、少しずつ動かす。
「栞奈、どこ行くの?」
その声にビクッとした。
気付けば、困ったようにあたしを見る大地と目があってしまった。
「あのさ、俺は栞奈以外とは行かないってなんべんも言ってんだろ?
こうやって来たからって、一緒にはいかないから。」
冷たく言い放つ大地。
そんなことしたら、誤解されちゃう!!
けど、あたしにはそんなこと言えなくて。
ただ、されるがままに、大地に手を引かれて歩いているあたしがいて。
ドキドキがおさまらないよ。
ただ、触れているだけなのに。
大地に聞こえちゃいそうなくらいに、あたしの心拍数は上がっていた。
ねぇ…大地。
少しだけなら欲をかいてもバチは当たらないかな。
できるならこのまま。
時間が止まってほしいと思った。