ONE FOR ALL ALL FOR ONE
俺が母さんといっしょに
教室に入ると、
先生が今までに
見たことないような
笑顔で立っていた。

そして俺たちを
席へと誘導し、
早速本題に入った。
「え~と、志望校は
"城北高校"と
いうことですが…」
俺らは親子で黙って
次の言葉を待つ。

「成績も段々と
伸びてきていますし、
今のままで頑張れば
十分可能だと思います。

これからも
頑張ってください!」

ニコッと笑って
先生が言った。

その瞬間、
俺らは顔を見合わせて
満面の笑みで喜んだ。

しかし先生の話は続く。

「でも私立は西福岡高校
とありますが、
もっと上の高校でも
良いと思うのですが…」

西福岡高校というのは
高校ラグビーにおいて
名門中の名門で、
福岡県で21年連続で
花園に出場している(ちなみに
 花園というのは
 ラグビー高校
 全国大会である)。

さらに言うならその
花園も3連覇中である。

しかし、
お世辞にも成績が
良いとは言えない。
スポーツマンか
ヤンキーが行く学校だ。
でもそこで自分を試して
みたい気持ちもあった。

俺は迷わずこう答えた。

「いいえ、僕は
良い環境でラグビーを
したいんです。

城北は強くは
ないかもしれませんが、
自分たちで強くします。

だからもしもの時は
西高に行けるように
したいんです!!」

担任はいつもそこそこ
おちゃらけている俺が
こんなにビシッと
言ったのに少し
ビックリしたようだが、

「分かりました。
それでは私立は西福岡、
公立は城北で行きます。
それではこれからも
一生懸命
頑張ってください。」

これにて
三者面談は終了。

もっと勉強を
しなくてはいけないと
心に誓った。

< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop