精霊達の棲家
眼の前の自身の手が、全く別人の物と錯覚する。
特に夜は制御不能で時にベッドの鉄柵を叩く、危険防止のため柵に掛布団を巻いてもらった。
トイレは車椅子さえ傍にあれば、全く不自由しないと自負出来るまでになった。
この病棟ではとにかく狭くベッド脇には置けないため、その都度ナースコールの出番となる。
入浴はシャワーであるが4~5日に一度可能で、看護師或いは看護助手の介添えで衣服の着脱、移動、身体洗い、シャワーの掛け流し等自らの脚で手で行えるまでになっていた。
転院まで約一週間自主トレでは車椅子操作の上達、スムースな運行を重点に練習を繰り返した。
行動範囲は同じフロア内に限定され窮屈であるが、
フロアの端から端まで結構な運動量だ。
苦痛を感じたのは廊下、病室の狭さ。
すれ違う際壁際に寄る、対面相手によっては壁ギリギリ、
車椅子を作動させるリングを掴む手の甲が壁と接触する。
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