精霊達の棲家
敗戦後の国内は混乱の坩堝(るつぼ)、政治経済はもとより教育文化まで国家機能の全てを席巻していた軍部組織は崩壊していたが、復興の大義に隠れて、斯界のブラックマーケットを介して暗躍する一方占領軍との間で、裏取引や闇物資の寡占化・横流し等、悪徳を弄し利権を貪る者が闊歩したという。
1950年に勃発した朝鮮動乱では、かの戦後処理に暗躍した輩が、特需を私物化し莫大な利益を上げていたことは、周知の事実である。
一方で戦争を讃美・鼓舞した軍・政治家・教育者そして名だたるオピニオンリーダー達は自らの責任に頬被りを決め込み、責任転嫁・詭弁の羅列・事実の歪曲・捏造・籠絡。
軍事裁判・戦争犯罪人・傀儡(かいらい)・・、その後臆面もなく斯界に進出した彼らの存在。
アイデンティティ・社会的地位・責任の所在・要諦・そして評価は、いか程のものだったのだろうか。
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