精霊達の棲家
三日目 その日は朝から奇妙な妄想が続いた。
MRIに向かうため、ベッドからストレッチャーに移し替えられた時点から始まる。
ストレッチャーはゴンドラに変わり、我が身が先頭の籠、後続にはM医師・夜叉面の看護師・友人・果ては現役時代の先輩の顔も見える。
ゴンドラは南房総九十九谷の見覚えのある山の斜面を横切って進む。
途中、体内を磁化する目的で、ドーム型のマグネトロンを潜る行程に進む。
ドームを低速で一周する間に、強力な磁場を通過し強磁性体の特殊人体に変身する。
更に直前の処理として体温を上昇させる必要があるという。
ゴンドラはゆっくりと進み、かまぼこ型の加温槽に入る。
この時同時に磁化された体内の老廃物・毒素・阻害物質等を炙り出す。
身体が火照る、目眩・吐き気・耳鳴り・頭痛 不快感が増す。
筋肉が強張り節々が痛みだす。
‘同乗の面々は’と後ろを振り返ると、
どの顔も前方の一点を見つめ表情一つ変わらぬ。