精霊達の棲家
何時しか夜を迎えていた。
採血・血圧・点滴・様態等医療行為や診察時には一頻り目覚め、用済みとなれば再び夢遊症候群に戻る。
大山のログハウスと救急病棟が合体し、一つしかない出入り口には机・椅子・ドア・本箱・キャビネット・収納・ボード等無秩序に押し並べられていた。
我が身はその中に逆さ状態で埋もれ、顔だけが辛うじて出ている。
室内にはベッドが6台 雑然と並べられており、患者は思い思いの姿で横たわっていた。
看護師が二人、助手が三人、それぞれに淡々と自らの職務をこなしている。
我が身の事など全く眼中にないようである。
戸外には何故か解体工事の職人や関係者が、出入り口を取り囲むように集まっていた。
棟梁らしき人物が何やら叫んでいる。
「中に入れろ !  許可は得ている ! 早く開けろ !! 」
家財に挟まれ顔だけ出した我が身が必死に叫んでいた。
時折怒鳴る。
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