宵の花-宗久シリーズ小咄-
美しい、彼岸花だったな。
たおやかで、気品のある色香。
来年は、更に美しく咲く事だろう。
彼女はまた、訪れてくるだろうか。
宵の夕焼けに、その着物を染めて。
物悲しい気分が、胸中に湧き上がる。
まぁこれも、秋の醍醐味だろうな。
もうじき、次の花の季節になる。
庭はまた、風情を変えて行くだろう。
そうして僕は、また、草花の言葉に耳を傾けていく。
儚い、命の囁きを。
強い秋風が、庭に流れ込んできた。
僕は、肺いっぱいに風を吸い込む。
それは、彼女の口づけの香りがした。
宵の花 終
.
たおやかで、気品のある色香。
来年は、更に美しく咲く事だろう。
彼女はまた、訪れてくるだろうか。
宵の夕焼けに、その着物を染めて。
物悲しい気分が、胸中に湧き上がる。
まぁこれも、秋の醍醐味だろうな。
もうじき、次の花の季節になる。
庭はまた、風情を変えて行くだろう。
そうして僕は、また、草花の言葉に耳を傾けていく。
儚い、命の囁きを。
強い秋風が、庭に流れ込んできた。
僕は、肺いっぱいに風を吸い込む。
それは、彼女の口づけの香りがした。
宵の花 終
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