宵の花-宗久シリーズ小咄-
2
「ああ、生き返る…」
僕が出した水を飲み安心したのか、彼女は笑顔を見せた。
その笑顔に、何となく僕もほっとする。
最初、水道水を出そうとした僕に、彼女は遠慮無く要望を差し出してきた。
「できるなら、水道の水は………」
「え?いけませんか?」
「………カルキの影響が不安で」
カルキ?
「では、どんな水ならばよろしいですか?」
「できるなら、天然の………井戸水を……」
この家に井戸は無い。
「どうぞ」
仕方なく僕は、冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。
彼女は飲んだ。
一気に。
1リットルの水を。
「良かった…わたくし、干乾びるかと思いました」
彼女は、生気を取り戻りたらしい。
青白かった頬が瑞々しさを帯び、濡れた様な朱色に色付いていく。
「この家に、あなたの様な方がいらして、わたくしは幸運でございました。一時はどうなる事かと」
それは良かった。
庭先で卒倒されても、どうしようも無かっただろう。
.
僕が出した水を飲み安心したのか、彼女は笑顔を見せた。
その笑顔に、何となく僕もほっとする。
最初、水道水を出そうとした僕に、彼女は遠慮無く要望を差し出してきた。
「できるなら、水道の水は………」
「え?いけませんか?」
「………カルキの影響が不安で」
カルキ?
「では、どんな水ならばよろしいですか?」
「できるなら、天然の………井戸水を……」
この家に井戸は無い。
「どうぞ」
仕方なく僕は、冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。
彼女は飲んだ。
一気に。
1リットルの水を。
「良かった…わたくし、干乾びるかと思いました」
彼女は、生気を取り戻りたらしい。
青白かった頬が瑞々しさを帯び、濡れた様な朱色に色付いていく。
「この家に、あなたの様な方がいらして、わたくしは幸運でございました。一時はどうなる事かと」
それは良かった。
庭先で卒倒されても、どうしようも無かっただろう。
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