前世の憑き物
神社の中に入ると広い畳の部屋に通された。


藍「おーい、ラル~お茶くれ、お茶~」

ラル「はいはい、少し待っていて下さい」


そう言うとラルは台所へお茶を取りに行った。
零は周りをキョロキョロと見回していた。


藍「ん?どうした」

零「いや、とても快適そうだな、と思いまして」

藍「お、良いこと言ってくれるじゃないの。ま、俺の家のセンスが良かったのかな」

ラル「そんなことないです。正直に言うと、この空いていた神社を勝手にリフォームしただけですけどね」


それを言い終えると、ラルはコップに注いだお茶を藍と零に手渡した。


零「えっ、そんなことしてもいいんですか?」

藍「いいんじゃないの、放っておいたら、木屑になるだったし」

零「まぁ、そうですけど」

藍「よし、話しもちょうどキリがいいし、ちょっと神社の中の部屋を教えてやるよ」

零「あの、一ついいですか?」

藍「ん?何だ?」

零「この神社に名前ってあるんですか?」

藍「あー、そのことか。この神社の名前は三狐(みぎつね)神社。俺の名字からとったものだ」

零「へぇ~、良い名前ですね」

藍「ま、俺のネーミングセンスが良かったからかな」

ラル「考えたのは私ですけどね」

零「・・・・・・」

藍「おいおい、ラル。それは言うなよ」

ラル「私は正しいことを述べただけです」

藍「零もそんな冷たい目で俺を見るなよ。色々な部屋紹介してやるからさ」


藍はそう言うと廊下を歩きだした。

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