アジュとウリ
ある日2羽はけんかをして離れていってしまった。
アジュのなかったはずの翼が半年前からだんだん生えてきて、今では立派な両方の翼が生えそろっている。
それに比べてウリの翼はいつまでたっても片翼のまま。アジュはもう1羽でも飛べる。だけど自分は飛べない。双子なのに……自分だけ……そんな思いが爆発して、アジュにあたってしまった。
離れたはいいが、餌も捕まえられない。飛ぶこともできない。1羽では何も出来ない……
けんかはしたがやっぱりアジュは飛べないウリを心配して餌を落としたフリをして与えていた。
「ばかにしやがって……ぼくだって……ぼくにだって……! 助けたフリをして優越感に浸っていたいだけだろう! この偽善者め!」
アジュの心境を知るわけもなく、ウリは与えられた餌を踏み潰した。そして捕れるわけもない餌を必至に追い掛け回していた。
「……アジュ、ごめんよ。ぼくが悪かったよ」
ある日突然ウリが謝った。申し訳なさそうに頭を下げるウリの頭をやさしく翼でなでた。
「いいさ。それじゃあ、川に水浴びでもしに行こうか」