先生観察日記

『先生が、そこにいた。


「あの~、私の生徒が何か?」


「ああン? 何だコイツ?」


「私は彼女の担任です。

彼女へ暴力をふるう人は許しません」


「けっ! 先公なんてやっちまえ!」


「あああ、ちょっと待ってください。

ここは人目が多すぎますから、できればトイレとか……」


先生は自ら進んで不良たちと一緒にトイレへ行ってしまった。

そして、トイレから大乱闘の様子が聞こえた。

先生が不良にやられちゃうと思った。


しばらくしてトイレから出てきたのは、メガネを外した先生だけ。

不良達は、トイレから出てくる気配がない。

ま、まさか先生がやっつけちゃった?

精悍な顔つきで、ボサボサ頭をかき上げているその姿は、いつもの冴えない先生ではなかった。


「早く行くぞ!」


私の手を引いて走り出す』

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