先生観察日記

先生も、虫刺されの薬を買ってる。

……何故ゆえ、中にあんこの入ったパンのキャラクターがついたパッチタイプ?


「先生、これ、貼ってて恥ずかしくない?」


「別に。可愛いだろ。ウケもいいぞ」


「もうすぐ30歳の先生が貼ってるのは、かなりイタイよ……」


「知らないのか?

このパッチ、俺が知る限り一番よく効くんだぞ」


「……ホント?」


「真面目に効くんだって。かきむしり防止にもなるし、騙されたと思って試してみろ」



私は結局、塗り薬タイプをやめて、あんこの入ったパンのヒーローをカゴに入れた。


久しぶりに君のお世話になります。

君は今も変わらずばい菌と小悪魔相手に戦ってるんだね。

私のかゆみもパンチしといてください……。



帰りの車の中。


早速裕香と私は例のキャラクターがついたパッチを貼った。


「ちょっ……安西!

なんてカッコしてんだよ!」


「へ? あ、すいません」


だってさ、ジャージを思いっきり捲り上げて、太ももを抱え上げるようにして貼らないと、届かないんだもん。


「や〜だ先生!

菫の足にみとれてた〜?」


裕香は涼しい顔をして、首筋にパッチを貼っている。


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