先生観察日記

薬品庫と呼ばれる、見た目も金庫のようなものに入れるのだ。


他の鍵と違い、この薬品庫の鍵は、誰かが勝手に持ち出さないよう、別の場所に保管されてたりもする。


しかも、実験で使った後は、薬品使用簿にいつ、どの薬品を、何の目的で、どれだけ使ったか記入しなくてはならない。


教育現場では、絶対に事故のないよう、悪用されないようにとここまで気を遣っているのだ!


だから、理科室から薬品を盗んでどうのこうの……という話は、まず無理だろうな。


それはさておき。



『動けなくなったあたしの顔を、先生はじっと見つめてこう言った。


「17にもなって、のどぼとけがないのはおかしいんじゃないか?」


先生の手が、あたしの喉をすっと撫で上げた。

冷たい感覚にぞくりと震える。


「きゃっ!」


つい、声が出てしまい、あたしは慌てて自分の口を塞いだ。


「こんなにそそる声、女にしか出せない」


ぞくっとするような事を、耳元で囁かれて、そのままじっとあたしを観察している。


ああ、やっぱりこの先生にはかなわない……』

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