先生観察日記
「見たい?
俺のストライクゾーンの彼女」
見たい!
でも、見たくない……。
「どうしても先生が見せたいっていうんなら、見てあげてもよくってよ」
やっぱり、先生の顔をまともに見ることができず、手元のペンをもてあそぶ。
私、ちゃんと笑顔になってる?
心の中のどす黒い感情が声に出てない?
いつから私、こんな醜くなっちゃったんだろう?
やだよ、やだよ、やだよ……。
先生がかばんの中から、青い『教務手帳』を取り出した。
手帳の表紙を開くと、カバーのポケットに数枚の写真が入っているようだった。
それを全部引き出し、その中から一枚だけ選んだ。
今まで見たこともないような、優しい顔でそれらの写真を見ていた先生。
残りはまたもとの場所に戻して。
その一枚に、先生の大事な大事な人が写ってるんだ……。
「これが今、俺の一番ストライクゾーンの彼女だよ」