先生観察日記

講習が終わった。

今日から時刻表が「冬休み運行」になってしまい、この時間はバスがない。

あと、40分。

勉強しながら社会科準備室で待たせてもらっちゃおうかな、と思って、カバンとコートを持った。


すると。

準備室へ向かう薄暗い廊下に、二つの影が見えた。

話し声も聞こえる。

先生と、4組のテニス部の子だ!

つい、階段の影に隠れてしまった。



「先生、彼女いないんですよね?」


「まあ、ね」


「それじゃあ、私が立候補します!」


……自分の好きな人が、他の女の子から告白される現場に居合わせちゃったよ。

まさに少女漫画か携帯小説の世界を体現してる私。

さっき、私が余計な事まで答えたから、彼女も勢いづいちゃったのね。

今日はクリスマスイブだし、ほとんど人はいないし、絶好のタイミングを作っちゃったよ、私が!

先生、何て答えるの?

彼女に負けず劣らず、私もドキドキして答えを待っていた、と思う。


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