先生観察日記
「……気持ちは嬉しいよ。
こんな可愛い子に立候補してもらえて、俺って幸せだと思う。
だけど、それでもし俺がOKしたらどうなるか、考えた事はあるか?」
しっかりと響く声。
耳に心地よいちょっと低めの先生の声が、私にもしっかりと聞こえた。
「教師と生徒、だからですか?
あとちょっとで私は卒業します!
それまでの間、内緒にすればいいじゃないですか?」
彼女は私と同じ立場。
私の心の中で、いつも叫んでいたことと同じ台詞を、先生にぶつけている。
彼女の口から出ているのは、私の本心と同じ。
私が彼女と違うのは、先生の考えを聞いていたこと。
先生の気持ちを考えたら、口に出してはいけない本心だって解ってる。
それと、彼女のように無謀とも思えるような行動力は持ち合わせていない。
玉砕したら、もう先生に勉強を見てもらうことなんてできなくなる。
一番大事な読者様を、失ってしまう。
きっと先生は、私の事をとことん用心するようになるもの。
でも、私が指をくわえて見ているうちに、先生がこの子と付き合ったら、私はきっと立ち直れない。
先生、何て答えるの?