先生観察日記
「俺はさ、バカ正直だから、やっぱりダメなものはダメなんだ。
内緒で付き合ったとして、それが誰にもバレなくても、自分の心には嘘をついてるだろ?
俺は、教壇に立ったとき、生徒に対して恥ずかしくない教員でいたい。
やっぱり、信用をなくすようなことはしたくないんだ」
先生らしい言葉だった。
いつもはふざけてばかりいるけど、根は真面目な先生。
そうだよね。あんなに熱く『信用失墜行為』について語ってたくらいだもん。
生徒と付き合うなんて、もってのほかなんだよね。
彼女はなおも食い下がっていた。
「それじゃあ、卒業してからだったらいいですか?
私が大学生なら問題ないんですよね!?」
そう、大学生なら。
卒業してからだったら、先生に迷惑をかけることもないかも知れない。
私と同じ結論を出した彼女の気持ちが、痛いほどよく解る。
解る、けど、先生もそれを受け入れたら……先生が『卒業してから付き合おう』なんて言ったら、どうしよう!?
彼女ほどの行動力と勇気がなかったばかりに、先生がますます手の届かない人になったら……。