先生観察日記
松本先生の授業はこれで3回目。
やっぱり、この先生がモデルで決まりでしょ。
授業そっちのけで観察日記に書き込んでいたら、先生がいつの間にか視界から消えていた。
げっ! 後ろっ?
ひいぃぃ~っ!
睨まれた。
「安西!
お前、政経で受験するんだろ?
受験科目の授業ぐらい真面目に受けろ」
「すみません……」
睨むと迫力があるっていうのも付け加えとこう。
うなだれつつ心の中でメモした。
あれ?
観察日記をじいいっと覗き込んだ先生が、一瞬にやっと笑ったような。
……もしかして『かっこいい』って書いといて命拾い?
「あぁ、講習のテキスト渡すから、後で社会科準備室に来なさい」