先生観察日記

「それから、テキスト代請求してもいいか?
1260円なんだけど、今じゃなくてもいいから」

「それくらいなら、今払えますよ。ちょっと待っててくださいね」


カバンから、お気に入りの赤いお財布を取り出す。

お、ちょうど1260円あるじゃない。えらいぞ私。

先生にお金を渡す。

私の指がちょっとだけ先生のてのひらに触れて、一瞬どきっとした。

慌てて手を放して、お財布のファスナーを閉めていたら。


「ははは。お前、今ちょっと意識しただろ」

「え~、してませんよ!」


なんでわかるのっ!?

そんな事言われたら余計に意識しちゃうじゃない!

そういえば、ここには私と先生しかいない。

この激甘路線が期待されるシチュエーションはもももしや……!?

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