先生観察日記

それまで黙っていたお父さんが、口を開いた。


「しかし先生。

菫もそんなにバイトできないかも知れませんよ。

それに、何かあった時、帰省するだけでもお金がかかる。

一人暮らしを始めるには、敷金・礼金・電化製品や家具も揃えなくちゃなりません。

そもそもなぜ、F女子でも勉強できるのに、R大学まで行かなきゃならんのですか?」


……さすがお父さん。

痛いところを突いてきた。

ピンチだわ。


そこに、キッチンから出てきたお姉ちゃんが援護射撃してくれた。


「お父さん、まとまったお金が必要だと言いたいの?

それなら心配いらないわよ、ね、お母さん?」


ニッコリと微笑むお姉ちゃん。

一瞬、ギクリとしたお母さん。


「うちのデパート友の会に入ってくれた時、お母さん名義の通帳見たんだけど、確か残高が7百……」


遮るようにお母さんが叫んだ。


「わかったわ!お母さんがコツコツ貯めたお金で何とかします!!」


お金の問題が、一気に解決した。

お姉ちゃん、凄いよ……。

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