先生観察日記
「高校1年の時、父が他界しました。
うちは自営業だったので、父の死によって全てがなくなったんです。
姉は大学進学を諦め、私も家から通えたO商大に進路を変更せざるを得ませんでした」
前に言ってたよね。
先生、やっぱり本当に行きたい大学じゃなかったんだ……。
「奨学金とバイト代だけで授業料と生活費を自分で全額賄うには、それしかありませんでした。
そして、教員になってからも後悔するのです。
うちのような進学校は、生徒が必ず教員の出身大学を聞いてきます。
露骨に馬鹿にしてくる生徒が中にはいます。
まぁ私の場合は大学へ行けただけよしとしなくてはならないのですが」
それ、私がお母さんに言われた台詞だよ。
お母さん、うつむいてる。
「だから、やる気ある生徒が家庭の事情で進路を諦めるのを見ていられないんです。
自分のように後悔するのが可哀想で」