先生観察日記

「先生、昨日は本当にありがとうございました」


いつものように社会科準備室で待っていてくれた先生に、まずはお礼を言った。


「良かったな。

これで勉強に集中できるだろ?

これからは余計なことなんて考えてないで、ひたすら頑張れよ」


「はい。頑張ります!」


「大変結構。

……いいご家族だな、安西の家ってさ。

あんな家族に囲まれたから、お前は素直ないい子に育ったんだな」


「うん、私は幸せだと思うよ。

こんなにいい家族と、先生のお陰で大学へ行けるんだもん」


「……まだ合格してないぞ」


「うっ……そうでした……」


「さ、勉強勉強!」


あと試験までもうちょっと。

こんなに先生が頑張ってくれたんだもん、絶対合格しなくちゃ。

私にできるのはそれだけだもん。

試験までは先生を独占できる。

この幸せな時間がもっと続けばいいのに。


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