先生観察日記

試験が早く終わって欲しいっていう気持ちと、もっと受験勉強を続けたい想い。

早く卒業したいけれど、まだこのまま、先生と生徒でいたい。

先が見えないから、現状維持したい。

でも、このままだとずっと私は、手のかかる教え子、なんだよね。

ストライクゾーンじゃなくてもいいから、せめて守備範囲に入りたいけれど、それが怖かったりもする。

そんな複雑な気持ちを抱えたまま、先生と勉強する日々もあと少し。


「そういえば。

お前のお姉さん、敵に回すととんでもなくおっかないだろ?」


「……うん。

やっぱり、わかる?」


「ああ。昨日のお姉さん、カッコ良かったな」


「でしょ〜。

自慢のお姉ちゃんなんだよ。

あ、でも先生、たとえストライクゾーンでも狙っちゃダメだからね!

ちゃんと同じ職場に彼がいるんだから!」


「……いや、こちらから遠慮させていただきます。

俺は怒ると怖い美人のお姉さんタイプより、元気でけなげな妹タイプの方が好きだ」


ん?

なんか今、すごく意味深なことを言われた気がする……?

テキストを広げながら、さりげな〜く嬉しいことを言ってくれた?

いや、好きなタイプの話だもんね。

気のせい、気のせい。
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