先生観察日記

学校はちょうどお昼休みだった。

靴を履き替えて、まずは社会科準備室へ向かう。

先生、いるかな?


ノックしたけど返事がなくて、鍵がかかってる。

職員室へ行こうかな。


ノックして入ると、ちょうど担任がいた。

本当は真っ先に先生へ報告したかったけど、仕方がないから担任に言った。


「R大学に合格しました」


担任、ぽかんとしていた。

そうだよね〜。

私の本命、担任は知らないし。


「先生のおかげです。

先生が4月に、日本史やめて政経にしとけって言ってくれたからです」


そう、間違ってもあの講習のおかげではないの。

でも、担任はきっかけを作ってくれたんだから、感謝しなきゃね。

まだ呆然としている担任の横を通りすぎて、先生の机を目指す。


先生がいた。

でも。

声をかけられそうもなかった。


見たくない光景が、目の前に広がっていたから。

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