先生観察日記

鍵を開けて、準備室に入る。

待つこと5分。

先生が入ってきた。


「悪いな。待たせた」


「ううん。それより先生、授業はないの?」


「2月と3月は、空き時間が多いんだ。3年生の政経がないからな」


「そうなんだ!

じゃあ、安心」


先生がにっこり笑って両手を差し出してきた。


「バレンタインのプレゼント、待ってた」


バレンタイン……。

さっきの光景が目に浮かんだ。

……一緒にされたくないの。


「先生。もう職員室の机に山盛りのプレゼント、あるじゃない?

私のなんていらないよね?」


拗ねてる私を見て、気まずそうな顔をする先生がいた。


「もらっておいて申し訳ないけれど、山盛りのチョコより、そっちの方がずっと貴重だ」


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