先生観察日記

そろそろ寝ようかな、と思っていた時。

お姉ちゃんが私の部屋を訪れた。


「菫、何かあった?」


さすがお姉ちゃん。

何でもお見通し。


「ううん、大したことじゃないから心配しないで」


「……ということは、やっぱり何かあったんでしょ?

お姉ちゃんで良かったら、相談に乗るよ」


お姉ちゃんにはかなわない。

ふぅっと息を吐いて、切り出す。


「生まれて初めて失恋しちゃった。

卒業式の日、松本先生に告白しようと思ったの。

でも『これ以上、何も言うな』って、喋らせてもくれなかったんだ」


「……で、菫はどうしたの?」


「泣いて、帰ってきた」


お姉ちゃん、私をぎゅうっとハグして。


「そうだったの……。辛かったよね。

でもね菫、先生はいろんな立場やしがらみがあるから、その告白を聞いてしまう前にストップさせたのかも」


「……そうかな。私は一番手のかかる、可愛い教え子なんだって」


「……」


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