先生観察日記
『一番奥の机で、いつものように私を待っていてくれた。
「沢山、泣いたんだろう?」
「はい……」
赤い瞼の私を見て、先生はかすかに笑った。
先生、今日だけじゃないの。
本当は、先生には何度も泣かされているんだから。
でも、先生は知らないよね?
私が毎日、どんな想いで先生に勉強を教えてもらっていたのか。
先生の何気ない一言が、どんなに嬉しかったか。
先生に認められたくて、どれだけ頑張ったか。
……想いを告げられなくて、何度泣いたのか』
……気づいてたよ。
俺はそんなに鈍感な男じゃない。
お前こそ、知らないだろ。
お前と一緒に勉強できることがどれだけ嬉しかったか。
お前から頼られるのが、どれだけ誇らしかったか。
お前が伸びるのを、どれだけ望んだか。
きっとこの小説を書きながら泣いていただろうって、容易に想像できる。
こんなにリアルな小説は、初めて書いたよな。