先生観察日記

先生の車はもう、待ち合わせ場所に到着していた。

後部座席のドアを開けて乗り込んだ。


「お待たせして、すみません」


バックミラー越しに、1ヶ月ぶりの先生の顔を見た。


……ずきん。


まだ、胸が痛い。



先生もこちらを見ながら


「いや、こっちこそこんな時間に呼び出してすまない」


と言って、車を発進させた。



「……これ、もしも見つからなかったら、どうなるんですか?」


おそるおそる聞いてみた。


「情報自体は、学校のサーバーに同じものを入れたから、バックアップはできている。

ただ、個人情報を外へ持ち出して無くしたとなると、間違いなく新聞沙汰だな」


……やっぱり。


「お家の中にあるのは確実なんですよね?」


「ああ。甥か姪が持ち出していなければ、ね」


「それじゃあ、頑張って探しますね」


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