先生観察日記

【菫の観察日記】


連休中に咲いた桜も、今はもう葉桜になってしまい、これからは芝桜の季節。

私は相変わらずまったりと受験勉強をしていた。


「安西、勉強してるか?」


廊下ですれ違う松本先生は、私に必ずこう言う。


「まあ、ぼちぼち」

「おいおい、真面目に予備校通いするつもりか?
授業料、高いぞ〜」

「え〜、現役でどっかの大学に滑り込みますよ!」

「ま、女子はそのほうがいいな」

「何でですか?」

「知りたいか〜?」


にやにや笑いながら、腕組みをしている。


「教えてくださいよ!」

「今は時間がないから、講習の前に聞きに来いよ!」


そうだった。今日は政経の進学講習の日。


私大3教科受験の私は

月曜日:現代文

火曜日:英語

水曜日:古文・漢文

木曜日:英語

金曜日:社会(政経)

……という講習スケジュールなのだ。

しかも、まだ部活を引退していない生徒のために、講習は5時からスタートする。

放課後、待ち時間たっぷりなのだ。

講習が始まる前、社会科準備室で時間をつぶさせてもらおうっと。


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