先生観察日記

……忘れてた。ド田舎の少年自然の家で、1週間も缶詰にされて勉強を詰め込まれる、恐怖の合宿があったっけ。


「まだ教務部の中だけの話し合いだけど、これが全体の会議にかけられて決められるんだ」

「どんな内容ですか?」

「それはまだ秘密だ。先生方にだって配ってない資料だし、会議を通してないからな」


いつも冗談ばっかりだけど、こういうところは真面目な先生なんだよね。

だから『信用失墜行為だらけ』の私の小説が気に食わなかったらしいけど。


「……先生って、結構真面目だよね。普段は冗談ばっかりだけど」


こっそりつぶやいた。


「そりゃそうだろう。根は真面目な奴しか教員にはならないって」


ばっちり聞こえていた、らしい。

ちょっとムッとされてしまった。ううう、フォローせねば。

これでも取材対象には気を遣っているつもりなのです。


「そっか。大変そうだもんね」

「お、やっと解ってくれたか!
そうだよ、この仕事、苦労の割に給料少ないし、生徒が可愛くなきゃやってられないって」


フォロー成功。

根は真面目で、苦労が絶えない、と。

またしても心の中でメモっとく。

苦労させてる生徒の中に、私も入ってると言いたげな視線を向けられたのは、きっと気のせい。

話を続けよう。

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