先生観察日記


「だから、現役で受かるように頑張れ。その方が親も喜ぶし俺も嬉しい」

「はい。頑張ります」

「よし、いい子だ。今しか出来ないこと、ちゃんとやっとけよ」


ニコッと笑って、先生は携帯電話をポケットから出した。


「それと、これはちょっと設定に無理があるな」

「あ、私の小説ですか?」

「そう。公立学校の教員なんだろ?
ならこんな生活維持できるほど給料出てないぞ!」

「あの〜、先生、そんなに安月給、なの?」


おそるおそる聞いてみた。


「おう。悲しい位安月給だ」


悲壮感たっぷりに呟いて、ため息をついてる。

安月給には思えないんだけどな。

だって、松本先生っていつもオシャレだよ。

さりげなくチェックしたネクタイ、今日はバーバリーだった。

いかにも、な柄じゃなく、よく見たらってところもポイントが高い。


「どれくらいもらってるのか、聞いてもいい?」

「あんまし聞かせたくないけど、またネタとして必要なんだろ?
お前の小説の教員は2年目だから、2年目の給料なら教えてやる」


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