先生観察日記
「真面目な話、今からならまだ間に合う。
部活の生徒も引退する今ごろからやっと受験勉強に取り掛かるからな。
そういう生徒の方が伸びるんだ、これが」
ええ~?
でも、私は部活してないもん。
「帰宅部の私はダメダメってことですか?」
「そういう意味じゃない。
安西は元々いい頭持ってんだから、真剣にやればガツンと上がる素質はあるんだぞ」
あ、今、ちょっと嬉しいこと言ってもらえたかも。
元々いい頭、だってさ。
だけどね、それは先生、ちょっと誤解してるんじゃない?
私の今までの成績なんて、ひどいものなんだから。
高校に入学してからなんて、落ちこぼれてるし。
この間返却された政経の偏差値なんて、42だったよ。
「そんなことないです。普段の成績見たら判るでしょ。
まともなのは国語だけだし」
一応、否定しておかなくちゃ。
余計な期待をされても困るし。