先生観察日記
「冗談だよ。
でも、好きな先生の教科なら真面目に勉強するのが、よくあるパターンだろ?」
先生は、ニヤリと笑って私を見た。
やっぱり、からかわれてただけ、だよね~。
そんなことだろうと思った。
「まぁ、マンガや小説ではよくあるパターンですよね」
「逆に、先生は好きなのに成績悪くて補習ばっかりっていうのもあるよな」
うんうん、成績悪くて補習、経験ありですよ。
ああ、情けない。
「すいません、私はそっちのタイプです……」
「……安西、意味わかって話してるか?」
意味?
『先生は好きなのに成績は悪い』ってこと?
「あ、いや、成績が悪いってところは私も同じだから」
「ならいいけど」
何がいいんだろ?
「ところで先生、私、また小説のネタを考え直したんですけど、聞いてくれます?」
「ん? もしかしたら、自習プリントの裏に書いてあった『アレ』か?」
ええええっ!?
さすがにネタ帳は開けなくて、何かにメモしたつもりだったあのネタ。
うっかり自習プリントとして提出したって事?
は、恥ずかしすぎる……。
読んだのが松本先生だったことだけが、不幸中の幸い、かも。