先生観察日記
「なのに、自分の事しか考えなかったバカな中3のガキは、
『俺の進学はどうなる?』
って、親父に詰め寄って叫んだ。
余計なストレスを与えて、親父の身も心もボロボロにするとも気づかずに……。
それからすぐに癌で逝ってしまった。
謝ることもできなかった。
残ったのは、このカメラと、親父に対する後悔だけ。
最低な息子だったよ」
それは、違う。
だって、先生はきっとお父さんのことが大好きで、だから今でも大事にそのカメラを持ち歩いてるんでしょう?
お父さんだってきっと、先生の事をずっと心配しながら病気と闘ってたんだよ。
私のおばあちゃんがそうだったもの。
きっと、お父さんならなおさらその想いが強かったはず。
うまく言えないけど、今の先生があるのは、お父さんが見守っているから。
こんなこと、高校生の私なんかに言われたくないかも知れないけど、伝えなくちゃ。
天国のおばあちゃん、私に勇気をちょうだい。
しゃくりあげそうになりながら、大きく息を吸った。